Cuter本棚～九大図書館で読めるオススメの一冊～: 【Cuter選書】中央図書館にあったら読みたい本

「悪口」と一口に言っても，発言者の知識の深さやウィットが感じられる洗練された悪口を聞くと，逆に笑いがこみ上げたり「なるほど！そういうのもあるのか」と納得させられたり，とにかく後味がすっとするものです。
この本では，あらゆる分野の教養を取り入れた，一見悪口と思えないののしりフレーズの背景知識や実際の使用例を数多く紹介しています。ふと他人の悪口を言いたくなった時には，この本のことを思い出してみてください。

NHK WORLD-JAPANの国際ラジオ番組で、世界17言語に翻訳して朗読された小説のなかから、選りすぐりの8作家の作品を収録したアンソロジーです。切り口も読み味も異なる名短編なので、このシリーズは今まで出会ったことない作者に出会えるチャンスを作っています。手軽に読める本であり、シンプルで温かい文字が多いです。日本語勉学中や日本文化を理解したい方にも適しているでしょう。寝る前にぬるま湯と一緒に飲むことをおすすめします。このシリーズは全部三冊であり、『1日10分のごほうび』と『1日10分の幸せ』も試してみてください。

ドイツ初期ロマン派の思想家フリードリヒ・シュレーゲルによる「ひとつの小説」ein Roman。『ルツィンデ』は発表当時の作家自身のスキャンダルによって一種のモデル小説と解され、またその「無形式のポエジー」ゆえに数々の批判にさらされてきた。しかし、芸術を生の領域へと拡張させようとしたこの作品は「空虚な饒舌」や「永遠の無形式とてんでばらばらの断片」に留まらない豊穣さを持っている。芸術と生、官能性と精神性、幻想と現実、冗談と真面目、男性と女性…。様々な相対立するものの論理的弁証法を超えた緊密な抱擁、「奇跡の植物学」の理想を掲げる『ルツィンデ』はそのアラベスクの奔放な生長を見事に描いたテクスト（織物）である。

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プラスチックは悪なのか？この問いに答えるためには、プラスチックがもたらす効果と影響の両方にしっかりと目を向けなければならない。しかしながら普段私たちは多くの物品の「消費」のパートだけを目撃し、それが実際にどのようにどこで誰によって何から作られ、また私たちが消費した後にどのような末路を辿るのかを目にすることは少ない。本作は海洋プラスチックの問題を取り上げ、その負の影響を突きつける。さあ、プラスチックは悪なのか？

人間が人間自身を議論の俎上に載せて考察する「人間論」は、これまでにも多様な立場から展開されてきた。宗教学者である著者は、コペルニクス的転回によって旧来の人間像を覆し、「自然」（＝可視的なもの）と「霊性」（＝不可視的なもの）の双方向から人間を捉えた「新人間論」を提示する。「死すべき有限な人間観」と「不死なる無限な人間観」との間の深い溝に橋を架け、包括的な人間観へと統合していく試みは、まさに「冒険」である。

医療をテーマとした本は数多く存在する。その中でも本書の特徴は、「いのち」を主題として、古今東西における医療の形態を踏まえ、包括的な視点から論考している点にある。我々はいかにして、個々の生体が備え持つ「生命力」としての「自然治癒力」を最大限に発現させることが可能であろうか。知の転換が求められる現今、医学・看護・福祉の原点に迫る本書は、新しい時代の「医療原論」であるとともに「養生原論」のテクストでもある。

天文学という学問分野が存在する一方、占星術に関してアカデミズムの世界で取り上げられることは稀である。だが、古代・中世においてそれは、未来予知のための「応用科学」「経験科学」の役割を担うとともに、国家体制を維持するために基幹となる学問であった。それゆえ、占星術書を紐解けば、各文化圏における宇宙観はもちろん、当時の歴史観や人間観をも垣間見ることが可能である。本書では、占星術の文献学的研究を通して、メソポタミアから日本に至る文化交流の足跡を辿っていく。

「輪廻転生」と聞いて想起されるのは、多くの場合、仏教の教義ではないだろうか。だが、死後に再び新たな肉体を纏って地上に生まれるという死生観は、特定の宗教の教義にとどまらず、時代や地域を越えて散見される。本書では、普遍的な観念としての「生まれ変わり」を〈再生型〉〈輪廻型〉〈リインカーネーション型〉の三種に類型化し、学際的な視点から「生まれ変わり」の諸相について考察を展開していく。

社会学作家として現代社会の諸相を見つめ、鋭い視点で問題を提起してきた著者によるシリーズ最新刊。物事を俯瞰・総合し、大きな枠組みからこの世界を眺めたとき、個々の事象の関連性が次から次へと浮き彫りになってくる。著者は言う、「世界が闇であるのなら自分が光になればいい」と。本書に記された201の語彙は、「思考を拡張する道具であり、暗黒を照らす光束であり、反抗するための武器であり、人間解放のフィリア（助力）」である。

法華信仰に生き、自然の中で創作に励んだ宮沢賢治。しばしば「聖人」と形容される一方で、彼の詩には「猥、嘲、凶、呪･･･」の不穏な文字が並んでいる。いったいなぜ、賢治は自らを「けだもの」と称したのか。著者はその謎を究明すべく、賢治と親交のあった保阪嘉内を糸口として、新たなる賢治論を鮮やかに展開する。それは同時に、美しくも切ない未完の大作『銀河鉄道の夜』の「カムパネルラ」が秘めた謎に迫る旅でもある。

アメリカを代表する劇作家ワイルダーの代表作。1938年の初演以来、時代と国境を越えて繰り返し上演されてきた本戯曲は、三幕より構成され、ある田舎町に暮らす町民たちの「生」の断片を巧妙に描き出す。町民たちのありふれた日常生活は、時の流れを超越した視点の導入により、異なる様相を呈したものへと様変わりする。主人公エミリーの個別的な体験は、やがて普遍的な次元へと昇華され、読む者に人間存在の本質を問いかける。

20世紀ドイツの哲学者シュタイナー。彼の創案したユニークな教育は、ここ日本においても各地で実践され、これまで坂東龍汰、村上虹郎、斎藤工等の人気俳優を輩出してきた。本書は、シュタイナー学園における各教科の現役教員による、「エポック授業」の実践レポート集である。シュタイナー学園には、教科書も試験も存在しない。点数評価による通信簿もない。その代わり、学ぶことの本質を追究した独自のカリキュラムにより、個々人の感受性を涵養することに主軸が置かれる。